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歯と歯がくっついているのは病気?癒合歯・癒着歯の原因と対策
なごみ歯科・矯正歯科の院長東和田慶直です。今回は、歯の癒合歯・癒着歯についてお話ししたいと思います。
歯の癒合歯・癒着歯とは、2つ以上の歯が1つの歯としてくっついて生えてくる現象のことです。下の前歯が多く、自治体の1歳半検診や3歳児検診で見つかることが多いです。
この記事では、歯の癒合歯・癒着歯の原因や特徴、注意点、また、当院でおこなっている癒合歯・癒着歯の対応についても紹介します。
1、結論
結論からお伝えしますが、なにもすることなく経過観察することが多いです。くっついて歯が生えてくるので生え変わりがおそくなったり、早くなったりするケースがあります。そのために歯並びが悪くなり矯正が必要となるケースは考えられますが、積極的に抜歯もそこまでしているケースは当院ではないですね。
2. 歯の癒合歯・癒着歯の原因
乳歯の癒合歯は、お母さんのお腹の中にいるときに、歯になるもととなる「歯胚」という卵のようなものが隣り合ってくっついてしまうことで起こります。この時にくっつく部分によって、癒合歯と癒着歯という2種類に分けられます。臨床的にはどちらがどうとかは関係はありません。
• 癒合歯:2つの歯胚がエナメル質や象牙質という中の部分でくっついているものです。中で神経がつながっている場合もあります。
• 癒着歯:2つの歯胚がセメント質という根っこの部分でくっついているものです。
なぜ歯胚がくっついてしまうかは、はっきりとした原因はわかっていません。
3. 歯の癒合歯・癒着歯の特徴
歯の癒合歯・癒着歯は、乳歯でも永久歯でも起こりますが、乳歯で見られることが多く、下顎前方部で発生する割合が高いです。具体的には、以下のような特徴があります。
• 下顎乳中切歯(A)と乳側切歯(B)癒合するケースが多いです。
• 癒合している部分は凹凸があるため、汚れや食べカスが溜まりやすくなります。教科書的な治療方法としては埋めたりすることも推奨される時代もありましたが、自分はしたことがないですね。
• 癒合している乳歯は生え変わりに遅れたり、後継する永久歯が生えてこない等することがあります。自分の感覚としては永久歯まで癒合する、癒着する方は少ないですね。
4. 癒合歯・癒着歯の状態を確認する
癒合している部分は見た目だけでは判断しにくい場合もあります。また、癒合している乳歯は生え変わりに影響を与えます。そのため、以下のような方法で確認します。
• 歯科用レントゲン写真を撮って、癒合している部分や後継する永久歯の有無を確認する。癒合歯・癒着歯があるとどうしても永久歯への生え変わりが遅くなります。適切な時期に自然に生え変わってくれるように定期的に観察します。
4. 歯の癒合歯・癒着歯の処置法
歯の癒合歯・癒着歯の治療法は、癒合している部分の位置や大きさ、神経の有無、後継する永久歯の有無などによって異なります。一般的には、以下のような処置法があります。
• 癒合歯のまま放置する:癒合歯が虫歯や歯周病になっていない場合や、生え変わりに問題がない場合は、特に治療する必要はありません。ただし、定期的に検診やクリーニングを受けて、口内環境を良好に保つことが重要です。
• 癒合歯を抜歯する:うまく生え変わりが行われない場合には、抜歯をおこない正常な歯並びになるようにもっていきます。抜歯することにより審美性が落ちる場合には抜歯しないこともあります。
5. まとめ
今回は、歯の癒合歯・癒着歯について解説しました。癒合歯・癒着歯は先天的なもので、2つ以上の歯がくっついて生えてくる現象です。乳歯で多く見られますが、永久歯でも起こります。癒合している部分は汚れやすく虫歯や歯周病になりやすいため、注意が必要です。癒合歯の原因や特徴、注意点について解説しました。
• 当院では、癒合歯の患者さんに対して診断と適切な治療を行っています。また、定期的なメインテナンスも行っています。お口の健康に関するご相談やご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
著者 なごみ歯科・矯正歯科院長 東和田慶直