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上唇小帯切除のメリットとリスクを歯科医師が徹底解説!費用や時期もご紹介
よく、1歳半検診、3歳児検診で上唇小帯の位置について指摘されたけど、どうしたらよいのか?というお話を聞くので、本日はそのことについてお話します。
上唇小帯とは、上唇と歯茎をつなぐ細い筋のことで、この筋が太かったり変な位置に付着していたりすると、歯並びに悪影響を与えることがあります。そこで、必要に応じて上唇小帯を切除する治療法がありますが、どんな方法なのか、どんなメリットやリスクがあるのか、どんな費用がかかるのかなど、気になる点をまとめてみました。
目次
①上唇小帯は切るべきなのか?
②上唇小帯の切除時期について(切除のタイミング)
③上唇小帯切除にかかる時間について
④上唇小帯の切除費用について
①上唇小帯は切るべきか?
結論では、上唇小帯は切らないことが多いが、切っている方たまにもいる。
上唇小帯が歯の近くまで来ている場合、歯と歯の間の隙間(正中部)が間が空いてしまうことがあり、審美性(見た目)が悪くなってしまいます。上唇小帯のせいでの前歯の歯列不正では、矯正治療だけでは治らずに上唇小帯の切除療法が必要です。前歯の審美性(見た目)を気にしない方では必ずしも切らなくてもよいです。歯と歯の間に隙間があっても、歯と歯の接触が良好であれば、歯周病やむし歯などのリスクが低く、切除の必要性はありません。ただし、ブラッシング時や口を動かしたときの違和感、口腔内で不快感や擦過傷などの症状が出ている場合にも、切除が検討されることがあります。また子供が遊んでいるうちにこけて、切れてしまったみたいなこともよくあります。
個人的には上唇小帯はそこまで切除をすることはないけども、たまに切除しているな、という感覚です。切除している子供は来院されている方の10%もいかないくらいですかね。
②上唇小帯切除の時期(切除のタイムミング)について
- 乳歯(乳歯列期)の時期:上唇小帯が太くても自然に細くなったり切れたりすることも多いので、切除する必要はほとんどありません。この時期には麻酔やメスを使用するので乳歯列期にあまり積極的に介入はしません。というかできません。
- 永久歯の時期(混合歯列期):上唇小帯が太いままだと、永久歯の前歯に隙間を作ったり歯茎を引っ張ったりする可能性があるので、切除することを検討します。
- 特に永久歯が萌出しはじめる7歳、8歳くらいに切除を行うと、自然に歯並びが整っていくことが期待できます。医学的には上顎の側切歯(前から2本目の大人の歯)が生える時期にするのが良い時期とされていますね。個人的には、中学生くらいの12歳ごろでは遅すぎる気がしますね。
③切除の処置時間については?
上唇小帯切除は、局所麻酔をしてから行われます。メスで上唇小帯を切断し、出血を止めてから創面を縫合します。1時間くらいかと思います。しばらくは傷になるので痛いかと思います。抗菌薬(抗生物質)と痛み止めを処方します。次の日に消毒、1週間後に糸取りです。特に問題なければ、治療は合計4回くらいで終わるかと思います。
④上唇小帯切除の費用
上唇小帯切除の費用は、健康保険の適応で、3割負担の方で約6000円程度です。高校生くらいまでだと自治体の発行するこども医療証やひとり親医療証の適応であると500円×来院頻度程度です。そのために費用は、年齢によっても変わりますので、事前に相談してください。成人になってからの上唇小帯を切除することは自分はほとんどしたことがないですね。
まとめ
以上、上唇小帯切除についてお話ししました。上唇小帯切除は、歯並びに悪影響を与える上唇小帯を切って取り除く治療法です。メリットもありますが、リスクや費用も考慮しなければなりません。また、特に切る時期も重要です。上唇小帯切除を受けるかどうかは、個人差や症状によって異なりますので、歯科医師と相談して決めてください。
なごみ歯科・矯正歯科では、上唇小帯切除を含めたさまざまな歯科治療を行っています。お口の健康や美しさを守るために、ぜひご相談ください。
著者 なごみ歯科・矯正歯科院長 東和田慶直